天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

靴(2)

長靴

 靴の種類(構造や用途)は、「――靴」と呼ばれることから分る。雨靴・運動靴・雪沓・短靴・長靴・編み上げ靴・革靴・木靴・ゴム靴・布靴 等々。


  今ぬぎし靴玄関の灯を浴びる自画像に似てさびしわが靴
                   秋葉四郎
  靴底に釘逆立ちて刺すまでの日々とおくしてとりとめもなし
                  有川美亀男
  草むらにハイヒール脱ぎ捨てられて雨水(うすい)の
  碧(あを)き宇宙たまれり      栗木京子


  入口に夫を待たせ靴を買ふ降誕祭の電飾うつくし
                   栗木京子
  あすは寒くなる夜の靴の尖ひかり帰り着かねばならず
  歩めり              上野久雄


  魔女の履く靴に似るかなこっそりとつり革に凭れる「魔女」
  を見上げる            生田澄江