海胆(1)
「うに」は漢字で他に、海栗、雲丹などとも表記する。棘皮動物綱の一群の総称。浅瀬から深海までの領域に860種もが棲息しているというから驚く。古生代のオルドビス紀に出現したらしい。バフンウニ、ムラサキウニ、アカウニなどが一般的。その卵巣を生食、鮨ねた、瓶詰などで食べる。
雲丹の殻焦げし焚火にふれて言ふ帰潮のかげの乱れむ
ときに 生方たつゑ
月の夜の海胆の欲望 岩かげの管足伸縮、反世界
加藤克巳
顕微鏡の下に受精を了へにける海胆の生命(いのち)を
目(ま)守(も)ると友は 木俣 修
足を見き巧に漕げる足を見き小舟傾げて海栗採るらしも
寺師治人
蒼浪の畳のうへにもりあがる寒夜の卓に雲丹せせり喰ふ
岡野弘彦
剥き終えし海胆殻なおも蠢きて海へと動けば哀しかりけり
古里長次郎