天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

こけし

鳴子こけし

 江戸時代末期に、東北地方の温泉地で湯治客に土産物として売られるようになった轆轤で作る木製人形である。従って、球形の頭部と円柱の胴だけのシンプルな形が一般的。発生当時の「伝統こけし」の外に、その後全国の観光地で造られるようになった「新型こけし」がある。「伝統こけし」だけでも10系統ある。
なお、「こけし」には、いくつもの当て字があったが、昭和14年鳴子温泉で開催された全国こけし大会で、仮名書きの「こけし」に統一することが決まった、という。


  こけし造る家五六軒かたまりてみちのくの遅き春日浴びをり
                     神辺園子
  テレビの上時計とこけし共存す時計はせかしこけし回顧す
                     岩田 正
  こせき戸籍こけしのように倒されてしまう人びと十月の雨
                     大滝和子
  いつしかもあつまりて来しみちのくのこけし二三十本の
  それぞれの過去            小池 光