天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

雲のうた(4)

乱早雲(雨雲、雪雲)

 万葉集には、作者未詳歌が二千数百首もある。「作者未詳」は、平安時代の「読人知らず」に同じである。作者が実際にわからない、下賤の者である、歌詞に支障ある、勅勘の身であった などの場合に「読人知らず」としてある。


  まそ鏡照るべき月を白栲の雲か隠せる天つ霧かも
                作者未詳『万葉集
  後(おく)れ居て我が恋ひ居れば白雲のたなびく山を
  今日か越ゆらむ       作者未詳『万葉集


  白真弓(しらまゆみ)今春山に行く雲の行きや別れむ
  恋しきものを        作者未詳『万葉集


  秋風の吹きただよはす白雲は織女(たなばたつめ)の
  天つ領巾(ひれ)かも     作者未詳『万葉集


  我が宿に鳴きし雁がね雲の上に今夜(こよひ)鳴くなり
  国へかも行く        作者未詳『万葉集


  雲間よりさ渡る月のおほほしく相見し子らを見むよしもがも
                作者未詳『万葉集
  高き嶺に雲のつくのす我れさへに君につきなな高嶺と思ひて
                作者未詳『万葉集


[注]右上の画像は、web「雲の種類と名前」 http://asukainfo.com/kumo
   から借用した。