枕詞概要(3/3)
和歌の時代の枕詞を現代短歌に積極的に活用した本に、高橋睦郎『爾比麻久良』(思潮社)がある。すでに 2011-04-28 鑑賞の文学 ―短歌篇(16)― において紹介済みである。枕詞は和歌の時代のものが固定してしまっており、新しい枕詞を作りだして話題になることは、ほとんどなかった。理由の一つに、枕詞の代りに序詞(長短自由の音数)が作者の自由になることがある。
とは言え、音数の制限のかかった枕詞を現代短歌で新しく作りだして、文芸を豊かにする短歌活動があってよい、と思うのだが。
以下に従来の枕詞の分析結果を右の本から引用しておく。
▽音数的構成分析
区分 3音 4音 5音 6音 7音 合計
(1)名詞 2 9 144 1 0 156
(2)体言+用言連用形 0 1 26 1 0 28
(3)体言+用言終止形 0 5 108 0 0 113
(4)体言+助詞 2 7 337 4 2 352
(5)語義かかり方不詳 0 8 21 0 0 29
合計 4 30 636 6 2 678