冬の雲について。時雨雲、雪雲、凍雲、冬雲 などの言葉もある。井辻朱美の歌は、「無原罪のたましひ」が複雑な言葉に見えるが、純粋無垢な魂ととればよいだろう。珊瑚の桃色のような丸い冬雲との取合せ。
北空に夕雲とぢてうつせみの吾にせまりこむ雪か雨かも
斎藤茂吉
わが部屋の硝子の窓をへだつれど雪の前と思ふ雲暗くして
扇畑忠雄
街空にクレーン高く静止してその先端のひとつ冬雲
磯 幾造
冬曇り高き昼すぎ成り難き稿ふりすてて街に出で来し
尾崎左永子
無原罪のたましひはあるにちがひないコーラルピンクの
まろき冬雲 井辻朱美