天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

雲のうた(25)

雪雲(webから)

 冬の雲について。時雨雲、雪雲、凍雲、冬雲 などの言葉もある。井辻朱美の歌は、「無原罪のたましひ」が複雑な言葉に見えるが、純粋無垢な魂ととればよいだろう。珊瑚の桃色のような丸い冬雲との取合せ。


  北空に夕雲とぢてうつせみの吾にせまりこむ雪か雨かも
                     斎藤茂吉
  わが部屋の硝子の窓をへだつれど雪の前と思ふ雲暗くして
                     扇畑忠雄
  街空にクレーン高く静止してその先端のひとつ冬雲
                     磯 幾造
  冬曇り高き昼すぎ成り難き稿ふりすてて街に出で来し
                    尾崎左永子
  無原罪のたましひはあるにちがひないコーラルピンクの
  まろき冬雲              井辻朱美