天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

天空のうた(13)

曙の空(webから)

 一首目は、藤原頼通から梅の花を贈って来たのに対する返礼の歌。うれしくて気持が浮ついてきた、と詠む。これに対して頼通は「そらならばたづね来なまし梅の花まだ身にしまぬ匂ひとぞ見る」と返歌した。ちなみに大弐三位の母は紫式部


  いとどしく春のこころの空なるにまた花の香を身にぞしめつる
                   大弐三位『新勅撰集』
  山の端も空もひとつに見ゆるかなこれや霞める春のあけぼの
                   源 師光『新勅撰集』
  恋しさのながむる空にみちぬれば月も心のうちにこそすめ
                   藤原俊成『新勅撰集』
  ふけぬともながむるほどは覚えぬに月より西の空ぞすくなき
                     伏見院『玉葉集』
  秋ぞかはる月と空とはむかしにて世世へし影をさながらぞみる
                    藤原為兼『玉葉集』
  星おほみはれたる空は色こくて吹くとしもなき風ぞ涼しき
                    藤原為子『風雅集』