橋のうた(3/6)
二首目の「四ツ木橋」は、墨田区八広と葛飾区四つ木の間の荒川放水路に架かる国道6号の橋である。1922年の橋、1952年の橋 と変遷があるようだ。
一首のなかに橋が二カ所にでてくると作者の思いがより強く感じられる。
人も馬も渡らぬときの橋の景まこと純粋に橋かかり居る
斎藤 史
砂の上に箱おきて雷魚ひさぎ居る四ツ木橋は暑き夕光のとき
五味保義
川上に橋かかりをり久しくもひと通らねばその橋さびし
前川佐美雄
川多き街のいづくに佇つときも橋の向かうに橋重なれり
川野弘之
この橋を用ふる町に育ちしかきみを訪はむと水音のなか
小野茂樹
ふとわれの掌(て)さへとり落す如き夕刻に高き架橋を
わたりはじめぬ 浜田 到
鉄橋を過ぎれば暗く光りつつわが汚れたる街が見えくる
水野昌雄