橋のうた(2/6)
橋は、障害物により分離された二つの場所をつなげる手段である。具体的には、道路・鉄道・水路などを、川や谷、また他の交通路の上などに通す際、その通路としてかける構築物。
「橋を渡す」あるいは「橋を掛ける」は、象徴的に、「関係をつける。渡りをつける。」「仲立ちをする。」という意味にもなる。
しば人はいかに尋(と)めてか渡るらむ落葉にしづむ
谷のうきはし 中島広足
冬川の荒瀬にかけし小板橋わたれば撓(しな)ひ水うちにけり
前田夕暮
桟橋にくだるすなはちわが兄の生きてあるかと人に問ひけり
橋田東声
陸橋に見ゆる電車交叉点は柳ひともと青みわたれり
中島栄一
東西を分てる橋の切断面ぎりぎりの尖まで鳥歩みゆく
阿部静枝
水の上に今朝ふる雨のとめどなくあらはなる橋を人わたりゆく
小暮政次
おのづから孤独の貌をもてるもの運河の橋を犬渡りくる
尾崎左永子