花火のうた(4/4)
大会で打ち上げられる花火は、大がかりな仕掛け花火や打ち上げ花火だが、家庭の庭で子供たちと楽しむ線香花火やねずみ花火などの玩具花火もある。花火(煙火)の分類は、まことに複雑なので省略するが、その歴史は、ヨーロッパでは、14世紀のイタリア・フィレンツェに始まるとされる。日本では、室町時代に日明貿易などで中国からもたらされたようだ。宣教師などの外国人も花火の記録を多く残しているとのこと。
更けし夜の闇(くら)きに一つ上がる花火残暑の浜に
まだ遊ぶ子か 平野宜紀
すりへらしすりへらしゆく神経の線香花火ほどのあかるさ
永井陽子
ひとひらのレモンをきみは とおい昼の花火のように
まわしていたが 永田和宏
恋人たちが見つめあわずにすむように花火は天の高みにひらく
井辻朱美
花束にしても寂しきコスモスを天に放ればこの日の花火
小川恵子
繚乱の花火果つれば不意にもる句点のごとき大き溜息
酒井京子
永井陽子の歌は、なんとも痛ましい事態を詠っているが、勤務先を次々に変り、肝炎で入院している時に48歳で亡くなった(自殺との噂も)。