天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

茎立(くくたち)

 春がたけるころに菜類が高く茎を立てて蕾をつけ、花を開くことをいう。

 

     大小の畑のものみな茎立てる    高浜虚子

     茎立てるものをとらへし牛の舌   渡辺大

     茎立つや石槌の雪また新た     高倉観涯

 

  上野(かみつけの)佐野の茎立(くくたち)折りはやし吾(あれ)は待たむゑ

  言(こと)し来ずとも       万葉集・作者未詳

 

  篠原や佐野の茎立ちさかなにて旅行く人をしひとどめばや

                  夫木抄・源 仲正

  くくたちの蕗(ふき)の小苞(をばかま)ひた掩ひきのおもしろき蕗の小苞

                      長塚 節

  水若き春の食(を)しものあはれなりとりのあしとふ茎(くく)立(たち)も伸ぶ

                     馬場あき子

 

茎立