天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

予科練の歌

靖国の時計塔」は、日本遺族会婦人部が奉納したものである。国は昭和三十八年四月一日戦没者等の妻に対する特別給付金支給法」を制定し、戦没者の妻の特別な立場を認め、慰藉の方途を講じたが、この感激を記念したという。
 小泉首相が通常服で秋例大祭初日に礼拝殿にきて賽銭箱に小銭を投げ込んで参拝したが、今日はその賽銭箱の横で、アコーディオンを弾きタンバリンを打つ老夫婦が目に留まった。曲は「予科練の歌」。予科練から戦場に出て散った身内がいたのだ。靖国に鎮まる彼に歌を奏でて慰めているのであろう。周囲に人は少なく、あまり感心を示していないようであったが、胸に熱いものがこみ上げて思わず天を仰いだ。

        ひさかたの光まとへり菊花展
   戦没者の妻慰労され感激のかたちをなせる時計塔はや
   宮司賞新人賞あり盆栽に国の香りの黄菊白菊
   相撲場は立入禁止四つに組む国技の像に紅葉映れり
   予科練の曲を奉ずる老夫婦アコーディオンひきタンバリン
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