天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

海軍大尉

 七月に入ったので、靖国神社の拝殿社頭の掲示が替わった。いつものように昼休みにそのパンフレットをもらってきた。
      明治天皇御製(明治三十六年)
          神祇
    わがこころ およばぬ国の はてまでも
    よるひる神は まもりますらむ


 今月の遺書の主人公は、山口県出身の海軍第十三期飛行科予備学生。昭和二十年五月、南西諸島方面にて戦死したという。享年二十三歳。海軍大尉とあるは、死後の階級昇進であろう。


  新婚の海軍飛行科予備学生にがき心を遺書にのこせる
  新妻の心のままに為せといふ共に暮しし期間短く
  残さるる妻をあはれみ書きにけむ心のままに行動せよと
  ただ信と愛あるのみと新妻のゆくへあやぶむ二十三歳
  弟と母と妻との三人の家族仲良く仲良くあれと
  新妻の両親に謝し飛び立てり南西諸島方面の空
  予科練の学生として戦死せし後の誉れの海軍大尉