天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

あめんぼ

鎌倉・長谷寺にて。

 半し目アメンボ科の昆虫。あめんぼう、水蜘蛛、川蜘蛛 とも。肉食性で、水面に落ちた虫に口吻を突き刺し消化液を注入して溶けた体汁を啜る。魚の死体にむらがることもある。獲物が水面で動く時にできる小さな波紋を感知してその位置を把握する。名称の由来は、飴に似た匂いがするところから。でも我々が確かめるのは容易でない。


  滑りつつしばしば跳ねるあめんぼはうつつのいのちよろこぶ
  らしも                 吉野秀雄
  あめんぼの動き光れるこの夕べ水輪の中にふるさとかへる
                      木村修康
  水溜るところ必ずアメンボの浮きて異星へ飛ぶこともなし
                      西村 尚


短歌や俳句では、あめんぼを「水馬」と書いて「みずすまし」と呼ぶことがあるが、ミズスマシは全く別種の昆虫である。混同した俳句の例をあげよう。

      水すまし平らに飽きて跳びにけり  岡本 眸
      あるときは雲に乗りたるみづすまし 関森勝夫


こうした混同は避けたい。いちいち確認して使えばよい。