あやめ
アヤメ科の多年草で、日本以外には朝鮮、中国東北部、シベリアに自生する。菖蒲と書いて「アヤメ」と読ませるが,それを「ショウブ」と読むと間違いを生じる。「ショウブ」はサトイモ科で,端午の節句の菖蒲湯に使われるが,花は全く違う。さらには,花菖蒲と菖蒲と杜若の区別をしなければならない。
あやめには外花被片の付け根に黄色と紫の虎斑模様(文目)がある点が特徴である。山野の渇いた土地に生える。
村のはずれの古沼ほとりにあやめ咲く卯月たそがれかなしみはわく
加藤克己
無き筈の乳房いたむとかなしめる夜々もあやめはふくらみやまず
中城ふみ子
花束抱きて刻々のわれみにくきにその束の芯死にたるあやめ
塚本邦雄
二千年のちの異国の人恋うて菖蒲あられもない姿して
谷岡亜紀
「あやめ」といえば、手近なところでは、小田原城を思ってしまい、時期がまだ早いかなと危ぶみつつ訪ねた。濠跡の菖蒲田に少しだけ咲き始めていた。なお、以前に明治神宮の庭園で見た菖蒲田は豪華であった。
砲撃の音にをののく諸葛采
城跡に老もはなやぐ楠若葉
濠跡の青色深き菖蒲かな
無駄はぶく施策おこたり国債の発行つひに九百兆円
鼻に水吸ってわが身に噴きかけて象のウメ子の朝がはじまる
壁に尻当ててわが身を支へたる象のウメ子の頭蓋老いたり
餌もとめ象舎の庭に寄る鳩をやさしく眺む象のウメ子は