天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

折にふれて

鎌倉・光明寺にて

 極楽寺由比ガ浜光明寺、妙本寺あたりを歩いた時のこと。



      石の上に実梅ころがる極楽寺
      実朝の見果てぬ夢やほととぎす
      梅雨曇うちは太鼓が浜をくる
      どくだみや蛇苦止の井戸を覗き込む
      

  実桜の踏み潰されし極楽寺ほたる袋はみなうつむけり
  引潮の浜に残れる海草にカラス集ひて鳴き交はすなり
  東風吹けば葉山の沖の真帆片帆富士に向かひて走り出だせり
  腹に沁むうちは太鼓の音がくる「世界平和」の幟を立てて
  石塔の囲める岩に黒猫が昼寝してをり梅雨入り近し
  梅雨入りの近きを思ふ石塔の囲める岩にねむる黒猫
  ギャーといふ声に驚き見上ぐれば寺の屋根なる二羽のダイサギ
  金色の体を返せる鯉の池屋根のとまれるダイサギが見る
  竹筒の燈明立てて寿げり七世紀半の「立正安国」