天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

飛蝗

多摩動物園にて

 バッタ。直翅目バッタ科の昆虫の総称。いなご、負んぶ飛蝗、精霊バッタ、トノサマバッタ など種類は多い。

      しづかなる力満ちゆきバッタとぶ
                 加藤楸邨
      精霊ばつた飛んで湖北に島ひとつ
                 関戸靖子
  飛蝗の頭には鋭三角形鈍四角などありて仮睡の
  われをとりまく          山下陸奥
                      
  紫蘇を食す飛蝗つくづく身の青く汝が息の緒や
  かぐはしからむ          山下かね子
                      
  錆びつきし錨のごとき影ひきてバッタ死にゐる
  海岸倉庫             吉田弥寿夫
                      
  吾妹子が昼の休みに捕へ来しいなごを煎り居り
  虫の鳴く夜に           結城哀草果
                      
  もろ抱きの稲のはがら葉茎に居るからに愚直の心
  みゆるぞいなご          馬場あき子
                      
  わが母が一日刈田に摘みて来し蝗を食めば草薫りすも
                   小池 光