天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

アオバト

大磯・照ケ崎にて

 以前にも紹介したが、大磯の照ケ崎は、知る人ぞ知る潮水を飲みに来るアオバトの集団飛来地である。堰堤にある説明板によると、丹沢山地から飛んでくるアオバトが多く、初夏から秋にかけて多いときには、1日で延べ1000羽以上が観察される。それは、満潮時にも海水を飲むことのできる岩礁があること、背後に大磯丘陵が接近して深い森林に恵まれていることなどの好条件を備えているためという。
7月に入ったので訪れてみた。大磯駅から左手の坂道を下り、藤村夫妻が眠る地福寺に寄り、大磯港から照ケ崎の海岸まで歩く。帰りは、いつものように鴫立庵に立ち寄って投句した。


      子燕が大き口開く駅の軒
      青鳩の礁を洗ふ青葉潮


  鬱深き梅の青葉の下蔭に藤村夫妻の墓ならびたり
  大げさなたも横にして釣り上ぐる小さき鰯の一尾光れり
  青鳩の飛来を待てる照ケ崎西の海より霧の寄せくる
  待つほどに群れて飛びくる青鳩は礁(いくり)に下りて
  じきに飛び去る


  大磯の潮はうましよ丹沢の山たちてくるアヲバトの群
  湧くごとく突如現はれ塩からき水のみて去る青鳩の群
  大磯にアヲバト待てば潮みちてわが足元にせまりくるかも