天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

大磯町郷土資料館

大磯町郷土資料館にて

 大磯城山公園は、縄文時代の遺跡でもある。この中にある大磯町郷土資料館では、10月24日から12月6日まで、伊藤博文没後100年記念として「滄浪閣の時代」と題する展示がされている。大磯に居を構えた政治家や実業家は多いが、伊藤博文もその一人。明治29年に、小田原にあった別邸「滄浪閣」を大磯に移し、翌年には本籍を東京の本邸から大磯へ移して、大磯町民になった。
 展示品の中で印象に残ったのは、彼の詩文の墨跡である。当時の人たちの教養の確かさを見る思いがして、うらやましくなった。また、びっくりしたのは、伊藤の命を奪った銃弾の展示である。これは衆議院憲政記念館が所蔵しているものらしい。


  欧州の知識をもとに練り上げし帝国憲法政争の後
  百姓の出にして国の礎を築きし男大磯に住む
  朝鮮の世子を招きて大磯の渚にあそぶフロックコート
  博文に安重根が発射せし銃弾を見る拡大鏡
  博文のシャツにひろがる血痕はかくも小さき銃弾による
  十ミリに満たぬ小さき弾丸にその生終へしハルピンの駅
  犯人は朝鮮人と聞きたれば「馬鹿な奴だ」とつぶやきて死す