くちなし

　漢字では、梔子と表記。アカネ科の常緑低木。花は散る前に黄変する。果実は紅黄色で、食品用染料になる。

　　ゆくりなく涙ながるる夕べなり花くちなしの白きあまりに
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　下村とし
　　はやく昔になれよと心かなしみし昔の香もて梔子は咲く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　馬場あき子
　　くちなしの花のさびゆく日にちに腐(くた)してならぬ
　　素志ひとつある　　　　　　　　　　　　久保田幸枝

　　時は後ろに進むことなき理(ことわり)の中にくちなしの
　　白き花朽つ　　　　　　　　　　　　　　尾崎左永子

渡　哲也が歌ってヒットした歌謡曲「くちなしの花」は、作詩・水木かおる、作曲・遠藤　実であった。一番の歌詞は次のようになっている。

　　　いまでは指輪も　まわるほど
　　　やせてやつれた　おまえのうわさ
　　　くちなしの花の　花のかおりが
　　　旅路のはてまで　ついてくる
　　　くちなしの白い花
　　　おまえのような　花だった