天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

朴の葉

藤沢市新林公園にて

 朴の木はモクレン科の落葉高木。厚朴(ほほがしは)とも。初夏に芳香のある九弁花を開く。果実は赤い。大形の葉は物を包むのに用いられる。飛騨高山の朴葉味噌はよく知られている。かつて当地のホテルに宿泊した朝、朴葉味噌を炭火焼にして食べた味がなつかしい。材は版画板や下駄の歯などに使われる。朴歯と言えば、下駄を表す。


  皇神祖(すめろぎ)の遠御代御代はい敷き折り酒(き)飲みき
  といふぞこの厚朴(ほほがしは)    万葉集大伴家持


  みちのくの栗駒山のほほの木のまくらはあれど君が手枕
                 古今和歌六帖・作者未詳
  朴の木の葉はみな落ちて蓄への梨の汗ふく冬は来にけり
                       長塚 節
  うなだれて父のあゆみし道おもふ朴の葉に朴の雫する音
                       大滝貞一
  朴の葉のときなく萎えて散りつげば八月は来る照る日重ねて
                       近藤芳美