天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

菊花展

横浜三溪園nite

 横浜三溪園の菊花展が、10月26から11月23日まで開催された。大菊、懸崖、古典菊、小菊盆栽に加え、三溪園や神奈川の名所の風景を小菊で表現した「盆景」が展示されていた。
 日本に野生するキク属は20種程度と多い。ところが菊花展で見る大ぶりな園芸品種は、分類学上はイエギク1種であるらしい。中国に自生するチョウセンノギクとシマカンギクとが交雑したもので、わが国には奈良時代に渡来したという。キクの栽培は江戸時代に発達し、以来多くの園芸品種が作られた。野菊の可憐さに比べると不気味である。


     藁屋根に紅葉かかれり横笛庵


  ダイヤ粒ちらせる銀の羽根ひろげてふてふは長き髪束ねたり
  池の面に蓮跋扈せり鴨たちの飛来こばみて冬枯を待つ
  秋ふかみ蜂の羽音もすずろなり萩の葉枯れてせせらぎに垂る
  掘るほどに遺構出でくる三渓園むかしの姿今に伝へむ
  盆栽に三渓園の内苑をとぢ込めたるが金賞を受く
  写さむと近づくほどに焦点のぼけてしまへり十月桜