玉縄桜
早咲きの桜には、あたみ桜や河津桜の外に玉縄桜もあることを思い出して、大船フラワーセンターを訪ねた。木の本数は少ないが、満開の状態を見ることができた。
説明板によると、玉縄桜は、フラワーセンター大船植物園で「染井吉野」の実生から選抜育成したオリジナル品種の原木で、花色や咲き方は「染井吉野」に似ているが、早咲きで気温の低い時期に開花するので、観賞機関が長い(2月下旬~3月下旬)のが特徴。平成2年に種苗登録された、とのこと。玉縄は、この付近の昔の村名であり、玉縄城があった。
なお、おかめ桜も満開で見ごろであった。この桜も早咲きで、イギリスの桜研究家イングラムが、 寒緋桜と 豆桜を交配して作り出したの園芸品種。「おかめ」は日本の美人の意味でつけられた、という。
園内をめぐると、今までは見かけなかった「金槐和歌集植物散策ご案内板」があり、源実朝の和歌が紹介されていた。梅、桜、菊について、次の三首。
君ならで 誰にか見せむ わが宿の 軒端ににほふ 梅の初花
桜花 咲き散るみれば 山里に われぞ多くの 春は経にける
濡れて折る 袖の月影 ふけにけり 籬の菊の 花のうへの露
金槐和歌集を植物の観点から読み直すのも一興で、新鮮に感じた。
しだれ梅の多くの種類(50種とか?)が咲き誇っていた。温室にも入ってみたが、暑くて早々に出てきた。
まばらなる木立なれども咲き満てりおかめ桜と玉縄桜
咲き初めし大寒桜の花の色まはりの花の色よりも濃き
しだれ梅咲きみちたれば実朝の歌もしたしく読まれけるかな
実をつけて裸になりしプラタナス芽吹きのときを待ちて眠れる