天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

マムシ

神奈川県立地球博物館にて

 クサヘビ科マムシ属の毒ヘビの総称。ニホンマムシは日本本土唯一の毒蛇。毒は出血毒で毒性は強いが量が少ないので、致命的ではないらしい。卵胎生で夏から秋にかけて5匹から12匹を産む。語源は「まむし(真虫)」、「はむむし(食虫)」。『玉葉』(九条兼実の日記。平安時代末期から鎌倉時代初期の内容)に「凡昔も今も真虫海より打上らるる事は、伊勢国に不候」と出て来る。古名には、くちばみ、たちひ、はみ 等。なお、漢字で蝮と表記するのは、卵胎生であることを踏まえていよう。俳句では、夏の季語。


     蝮には心ゆるすな丑湯治    阿波野青畝
     蝮捕水のぬくもり見に来たる  茨木和生


  近付けば前方後円分けがたく墳のおどろに蝮棲み成す
                    蒔田さくら子
  下草を刈る鎌の先のろのろと逃げゆくあわれ蝮身籠る
                    米山敏雄
  目の合えば逃げるともせぬ性猛き蝮としばし対き合いてたつ
                    米山敏雄