天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

烏瓜

横浜市東俣野の田園にて

 ウリ科の多年生つる草。雌雄異株。晩秋に朱色に熟す。葉が落ち尽した後もぶら下がっているので、目立つ。中の種は黒く、カマキリの頭に似るというが、まだ開けて見たことはない。


     うれしさのこどものくれしからすうり   森 澄雄
     枯れきつて中の虚ろや烏瓜        長谷川櫂


  晩秋の朱たもち来しからす瓜冬深むころ机上に乾く
                     長沢一作
  先の先まで伸ばすことなくしぼみゆくことしおわり
  のからすうりの花           沖ななも


  枯れてなほ朱の色消えぬからす瓜風に吹かるる残世
  があれば               安永蕗子


  からすうりのレースの花がしゆつとひらき こんな
  にしづか地上の時間          日高尭子


  あはれなる其の名と思ふ烏瓜実のくれなゐの黒ずみ
  にけり                清水房雄