天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

南天の実

京都嵯峨野厭離庵にて

 南天はメギ科ナンテン属の常緑低木。中国が原産地。名前の由来は、漢名の「南天燭」の略。初夏に白い花が咲き、晩秋から初冬にかけて赤色小球形の果実をつける。「難を転ずる」に通ずることから、縁起の良い木とされ、鬼門または裏鬼門に植えると良いとされる。葉には健胃、解熱、鎮咳などの効用があるという。すでにこのブログで、2011年1月3日、2012年1月14日 で取り上げているので、以下にはそれらと重複しない作品をあげておく。


     実南天紅葉もして真赤也      鈴木花蓑
     植木市南天実る縛られて      藤井 亘
     南天の実に惨たりし日を憶ふ    沢木欣一
     億年のなかの今生実南天      森 澄雄
     ていねいに朝日がとどく実南天    黛 執


  年越すがひとつ願ひの父と見る霜おく庭に南天朱し
                   君山宇多子