夏の花壇を彩る花だが、初秋まで咲き続けるので、歳時記によっては秋の季語にしているものもある。原産地はブラジルで、わが国には江戸時代にオランダ経由で渡来した。
サルビアの花の衰へ見れば見ゆ 五十嵐播水
サルビアのどつと暮れたる海のいろ 黒田杏子
おもひにて人を殺さむ サルビアの花のこごりてゆく
思惟の底 桑山則子
偽装せる倖せながく咲きつづけ莖かわき立つ冬のサルビア
畑 和子
死んでいった子の分、生まれなかった子の分も蜜をひそめて
サルビア朱き 鈴木英子
サルビアの緋の花群が陽に照れり凝(こご)りてそこに時の
うごかぬ 真鍋美恵子