花火
打ち上げや仕掛けなどの大型花火(揚花火)と庭先で楽しむ線香花火などの玩具花火(手花火)と、二種類に大別される。初期俳諧では、盆行事の一環と考えられて、本来秋の季語だが、現在では納涼の観点から夏の季語になっている歳時記もある。一万発以上を打ち上げる大形花火では、今年の場合、諏訪湖、長良川、長岡、隅田川、渡良瀬、大曲、あつぎ、神奈川新聞、みなとこうべ などがある。内、歴史的には隅田川花火大会が「両国の川開き」として古くから有名。享保18年(1733年)の「両国川開き大花火」が始めという。花火師は、鍵屋6代目篠原弥兵衛。打ち上げた花火の数は20発ほどだったらしい。
夜は秋のけしき全き花火かな 白雄
星一つ残して落る花火かな 抱一
金龍のだらりと消えし花火かな 川端茅舎
唐突の花火の音に前後して宵鳴く犬は動物のこゑ
佐藤佐太郎
つつましき花火打たれて照らさるる水のおもてにみづ
あふれをり 小池 光
夫も子も帰るべき家もないやうなそんな心に見る遠花火
大塚陽子
はなび花火そこに光を見る人と闇を見る人いて並びおり
俵 万智
夏旱つづく或る夜を揚がりたる一つ花火は厚物に咲く
西村 尚
山間の祭の花火爆づるとき一つ音長く谷にこだます
波 克彦
百万の人のあふれて大川にさびしさびしと花火の上がる
諏訪順子