天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

海水浴

片瀬の海岸にて

 七月二十日は海の日。海開きと共に海浜に海の家が立ち並び、休日ともなれば、芋の子を洗うほどの人出になる。そして九月に入ると海の家は取り払われて海辺は閑散となる。神奈川県では、1885年に医師・松本順らが大磯に開いた海水浴場が一般庶民に提供された。


     富士暮るる迄夕汐を浴びにけり   大須賀乙字
     歩き行く地が砂になり海水浴     古賀秀雄


  つつましく水着の肌に子を抱きて海をみてゐる母まだ若き
                     太田水穂
  海に入りて遊ぶ女童(めわらは)寄る波の顔にかかれば
  声立てて笑ふ             窪田空穂


  午前四時蝉よりも夙(と)く起き出でて一番電車(いちばん)
  に乗り海水浴に行く         前川佐美雄


  一日の海水浴に背の皮むけて足らへるごときをさなら
                    石川不二子