鮎
代表的な川釣の対象魚。友釣、どぶ釣、ころがし、鵜飼、やな などの方法がある。近年は資源として枯渇の危機にあり、禁漁期を定める所もある。人工孵化、放流も盛んである。
卯の花の咲きたる岸をとめくればいはせの浪に小鮎
さばしる 中島広足
幾億万の鮎の卵とおもへどもかく鮎となるに数かぎりあり
斎藤茂吉
日のくれの厨(くりや)の中にかぐはしも鮎の炭火の
いろのぼりくる 大熊長次郎
青年よ汝(なれ)よりさきに死をえらび婚姻色の一ぴきの鮎
塚本邦雄
若鮎のすずしきいのち愛(を)しみつつ素焼をたのむ
家苞のため 筏井嘉一
昇り来る鮎の鰭音さわさわとこの嶺の右の左の川に
小瀬洋喜
日ののこる石に来ていし夕鮎の水激しければ鰭うごくかな
上野久雄
阿武隈の光る川面に鮎を釣る男立ちをり杭のごとくに
本田一弘