天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

緑蔭(1)

円覚寺・開基廟にて

 横浜市のはずれでも猛暑が続いている。外出しないで一日中エアコンに浸っていると体力は消耗しないが、筋力は衰えてくる。猛暑に耐えて外を歩くことも意義ありと考えて北鎌倉の円覚寺東慶寺の境内を歩いた。日当りの場所はさすがに暑い。目がくらむ。よって木蔭を伝って歩くことになる。


     食ひ終へしメロンの雫すすりけり
     苔むせる小さき石仏白桔梗
     緑蔭の椅子に腰かけ円覚寺
     舎利殿にリスの声きく夏木立
     魯迅より寄贈の泰山木の花
     緋毛氈泰山木の花の下
     緑蔭の高瀬一誌を訪ひにけり
     緑蔭の墓地にくつろぐ東慶寺
     緑蔭の墓地にねむるを羨めり
     浴衣くる北鎌倉の駅ホーム


  寝不足に食欲のなき朝食は匙にすくへるメロンの果肉
  大木となりて花咲く泰山木昭和八年魯迅の寄贈
  円覚寺東慶寺など経めぐりて大緑陰に猛暑をしのぐ


 円覚寺・開基廟の境内には、昭和八年に魯迅が寄贈した木蓮と泰山木がある。季節がくるとどちらも見事な花をつける。右上の画像が今回の散策で撮った泰山木の花である。木蔭の緋毛氈を敷いたベンチでしばし涼をとった。