天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

葡萄

わが食卓より

 ブドウ科の落葉つる植物。小アジアから中央アジア原産のヨーロッパブドウと北米原産のアメリカブドウとがある。主要生産国は、イタリア、フランス、米国、スペインなど。日本では、山梨、長野、山形などの産地がある。私はもっぱら種なしブドウを買って食べるが、種なしブドウには無核品種とジベリン処理により単為結果させたものがある。日本で栽培するものは、ほとんどが後者によるらしい。


  乳形の葡萄は市にうぐたかし耶律楚材の歌に見しごと
                      雁部貞夫
  なきがらの化粧をほむる声廻し黒き葡萄を分つ夜のあり
                     百々登美子
  きさらぎの葡萄畑に妻と入りすでに樹液のうごくさま見つ
                      宮岡 昇
  吹き荒るる冬のはやちに葡萄の枝えらびつつ切る吾が喉渇く
                      宮岡 昇
  米作り牛飼ひ今は葡萄売る移り激しかりき農の三十年
                      宮岡 昇
  ひまはりの油を絞る仕掛けなどぶだうの酒を醸す業など
                      紀野 恵
  對ふ人吾が云ふことを悟らざり紫なる葡萄の色あたらしき
                     佐佐木治綱