天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

葬儀(2)

多摩斎場

 宗教により様式が異なる。日本では仏教伝来以来、皇室から民間にいたるまで仏式が普通であった。明治維新の廃仏稀釈により、皇室は神式に改められ、一般にも広まった。キリスト教様式も行われるようになった。


  星のゐる夜空のもとに赤々とははそはの母は燃えゆきにけり
                   斎藤茂吉
  音もなく黒衣の列は進むなり花輪ゆるがす寒風の中
                   若浜汐子
  遺志により葬儀はこれを行はずふかくおもひていまだも
  言はず             上田三四二


  ほどかれて少女の髪にむすばれし葬儀の花の花ことばかな
                   寺山修司
  彫りかけの墓石を隅に寄せておき石屋は石匠の葬儀しており
                   浜田康敬
  風つよき日の葬儀すみ麺を食ぶ生くる身はしみじみと熱き
  汁吸ふ              沢口芙美


  信濃町ゆふあかりして駅前の帝都典礼を出づる白百合
                   渡 英子
  君に逢ひ得む唯それだけの希ひ抱き縁うすき人の葬送にゆく
                   辻下淑子