天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

葬儀(1)

多摩斎場

 死者を葬る一連の儀式のことである。遺体を納めた箱を柩という。古典和歌では、荼毘に付すことを煙に託すことが多い。鳥辺山は代表的な荼毘の場所であった。


  玉梓(たまづさ)の妹は玉かもあしひきの清き山辺に撒けば
  散りぬる            万葉集・作者未詳


  つのさはふ磐余(いはれ)の山に白たへにかかれる雲は大王
  (おほきみ)ろかも        万葉集・作者未詳


  鳥辺山谷に煙の燃えたたばはかなく見えし我と知らなむ
                  拾遺集・よみ人しらず
  あはれ君いかなる野べのけぶりにてむなしき空の雲となりけむ
                   新古今集・弁 乳母
  道かはるけぶりのはてに立ち添はで夢ならねばぞ明け暮らすらむ
                      藤原定家
  早蕨のもゆる山辺を来てみれば消えし煙の跡ぞ悲しき
                      兼好