天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

火葬場

多摩斎場

 死体を火葬するための施設で斎場ともいう。炉前で遺体を見送り、火葬後に拾骨する。
現在の都市計画法においては、都市施設の一つとして「火葬場」が規定されている。その運営には、各市町村の清掃・衛生関連部署によるもの、複数の市町村が一箇所に集約して使われる事務組合によるもの、一部民営・業務委託・半官半民といった形態での運営のもの など。
 歴史的には、文武天皇四年に僧道昭が遺言で火葬させたのが記録に残る最初であり、奈良時代以後に広まったとされる。


  火葬場の昼の煙突に煙もなし野は青々と夏光りすも
                    今井邦子
  火葬場の煙ながし蕭条と枯田をわたる心疲れつつ
                    加藤克己
  火を入るるスイッチに声咽びつつ火をくぐり来し骨
  には泣かず            阿木津 英


  火ぼてりのまだある頭蓋たはやすく取り出しくるる
  人の手憎む             君島夜詩


  拾ふほどの骨もなかりき舞ひたちてわが手に触るる灰
  あたたかし             志野暁子


  骨揚げを待つ間強ひらるる清め酒 何清めよと君は
  言ふのか              金田義直


  ぎこちなく挟む箸よりこぼれ落つわれを抱きたる腕や
  しらほね              上原直子