天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

沼(3)

牛久沼

 牛久沼について。茨城県南部にある面積3平方キロ、最深部3mの沼である。17世紀前半に灌漑用の溜池として利用されていたが、後に江川用水が開削された。ウナギ、コイ、フナなどの釣とカモ猟で知られる。


  何というさびしさだろう沼の面にあけぼの杉が逆さに揺れる
                     大畑悳子
  ざわざわと太陽の髭のびひろがり沼は鉛のひかり帯びたり
                    杜沢光一郎
  首長くのべて飛びゆくハクチョウのひたすらにして沼の上
  に出づ                大悟法進


  藻の森を出で入りあそぶ沼エビの私生活(プライベート)を
  折ふし覗く              高野公彦


  沼の面を音なく蛇がよぎりゆくひとすぢの炎ゆる金色(きん)
  とはなりて             真鍋美恵子


  蕁麻(いらくさ)に触れし痺れの残りうぃて脅やかされむ
  また沼の夢に             大西民子