天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

大寒(2)

鎌倉・長谷にて

 東日本では一年のうちで最も寒い季節。西日本では、一月末から二月初めに最も気温が下がる傾向にある。


  大寒に近きこのごろよく晴れて日ぐれはしばし夕焼の空
                     半田良平
  出てくれば空気が壁のごとく立つ大寒の日々きはまりゆかん
                     鈴木幸輔
  シリウスの志(し)にしたがひて大寒の風ちぎれとぶ八街
  (やちまた)に立つ           雨宮雅子


  剪定の鋏うごかすてのひらに大寒の日がしばしあそべり
                     宮岡 昇
  犬の次郎猫の次郎に雪降りて日本列島大寒に入る
                    石川不二子
  銀帯ぶる日陰の空気金帯ぶる日向の空気大寒過ぎて
                     宮里信輝
  大寒の雨降る夕べ解熱せし体冷たくなりて目覚むる
                    松生富喜子


  蓮植ゑし鉢の水面の薄氷(うすらひ)は朝のひかりに
  ゆるび初めたり