飯田龍太が詠んだ大寒の俳句を以下にあげておく。最もよく知られたのは二句目である。
大寒の雲に真近く栖みゐたり
大寒の一戸もかくれなき故郷
大寒の洩れ灯刃をなす家ばかり
大寒の赤子動かぬ家の中
大寒や毛生薬も瓶の澄み
大寒の月ののり出す港町
楠の山から大寒の朝日出る
大寒の薔薇に異端の香気あり
大寒の牛鳴いてゐる萱の中
大寒や夜に入る鹿の斑を思ふ
大寒の夜風吹きゐる善光寺
薄氷(うすらひ)に閉ぢ込められし侘助の淡きくれなゐ
美しかりき