天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

立春を詠む(3)

鶴ケ岡八幡宮にて

 立春の代りに、「春来る」「春となる」「春きざす」「立ち返る春」なども使われる。


  立春の朝川渉る夢さめてわが身ひとつの古稀を思はむ
                   山中智恵子
  透きとほる花の幻影夜々(よひよひ)に眠りをつつむ
  立春前後             尾崎左永子


  宵こそは立春の日の濃紺なれ聴診をしてかへり来たれり
                    岡井 隆
  正座のまま眠りこみし猫にも立春大吉来るがごとしも
                    高瀬一誌
  春立てる夜の家族の話題なり乳噴きて泳ぐ鯨のことも
                    伊藤一彦
  ふとん打つおともいかにも春となり街上に横たはる
  縄一本               小池 光


  列島に春きざしつつ整列が美しすぎる子らと水仙
                   小島ゆかり