立春の代りに、「春来る」「春となる」「春きざす」「立ち返る春」なども使われる。
立春の朝川渉る夢さめてわが身ひとつの古稀を思はむ
山中智恵子
透きとほる花の幻影夜々(よひよひ)に眠りをつつむ
立春前後 尾崎左永子
宵こそは立春の日の濃紺なれ聴診をしてかへり来たれり
岡井 隆
正座のまま眠りこみし猫にも立春大吉来るがごとしも
高瀬一誌
春立てる夜の家族の話題なり乳噴きて泳ぐ鯨のことも
伊藤一彦
ふとん打つおともいかにも春となり街上に横たはる
縄一本 小池 光
列島に春きざしつつ整列が美しすぎる子らと水仙
小島ゆかり