天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

マグロ

NHK「キッチンが走る」の画像より

 鮪はスズキ目サバ科。暖かい海に分布する回遊魚。沿岸漁と遠洋漁とがある。小型をメジ、大型をシビという。クロマグロメバチ、キハダ、インドマグロ、ビンナガなどの種類がある。寿司でおなじみのクロマグロは、ホンマグロとも言われ体長3メートル、体重400キロにもなる。奄美大島では、近畿大学が完全なマグロの養殖に成功して、出荷できるまでになっている。俳句では冬の季語。


     此の岸の淋しさ鮪ぶち切らる  加倉井秋を
     凍鮪千畳なすを糶り尽す     鷹羽狩行


  鮪(しび)突くと海人(あま)のともせる漁火(いさりび)のほかに
  出でなむわが下思(したもひ)を   万葉集大伴家持


  鮪釣りに行かししせこの帰るべみアサデのイササただならぬかな
                       服部躬治
  餌まけば深きより出でて尾鰭うち鮪は群れてうちどよむとふ
                       若山牧水
  良きまぐろ背板に乗せて板舟の上に並べてうれしかりけり
                      中島治太郎
  倅たしかに おれより逞しい まぐろを割るハンマアを
   高々と打上げる             小倉三郎


  冷凍の鮪を截りゐる作業場のするどき電気鋸の音
                       由谷一郎
  うけ口を半ば開きて無表情に遊泳す大航海者クロマグロの群
                       滝沢博夫