天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

春の里山(2)

横浜市舞岡公園にて

 横浜市の舞岡公園を訪ねた。湿地帯や溜池の廻りに珍しい野鳥が出てきていないか、芹や土筆が生えていないか、探して歩いたが、いずれも見つけられなかった。ただ一羽の白鷺が池の辺にぽつねんと佇むのみ。咲きかけた薄紫の幤辛夷や万作、沈丁花などはあったが、桜の蕾は未だ固く花見には遠い感じ。


     小川辺に朝の歓喜の幤辛夷
     わたしの食べてくれた 鯉が口開く春の川
     つつかへて啼くうぐひすの梢かな
     手を洗ふ厠の横の沈丁花


  雪溶けてひときは高きせせらぎの小川の縁に幤辛夷咲く
  谷間(たにあひ)の畑をはさみ鳴き交はす春のあしたの鴬のこゑ
  うぐひすのこゑなめらかにしたたれり黒もりあがる田返しの土
  汝が影に魅入るか朝の池の辺に佇ちて動かぬ一羽白鷺
  いつよりか軍艦マーチを聞かざりし除菌消臭のパチンコパーラー