天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

クロッカス

俣野別邸庭園にて

 アヤメ科クロッカス属の総称だが、花を楽しむ園芸植物としてクロッカスの名が流通している。耐寒性で秋植え球根植物。原産地は地中海沿岸から小アジア。早春に花はほとんど地上すれすれのところに咲く。黄色・白・薄紫・紅紫色・白に藤色の絞りなど多彩である。


     クロッカスいきなりピアノ鳴り出しぬ  宮岡計次
     クロッカス病む白鳥の視野に咲く    細井みち


  クロッカス夕べ花閉ぢ三月の庭にあざやか黄の蝋のごと
                    宮 柊二
  いまひらくとほのゆれやさしクロッカス黄の花群れの
  いまかひらくと           加藤克己


  きみが歌うクロッカスの歌も新しき家具の一つに数えむ
  とする               寺山修司


  ひと夜の雨晴るるわが庭クロッカスの地にこぞりたつ花
  あたたかし             板宮清治


  山も海も見えぬこの町を寂しみて林檎箱に子とクロッカス
  を植う               小野田勉