天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ザリガニ(2)

浜松市の緑地にて

 正確にはアメリカざりがにのことである。甲殻類ザリガニ科に属するエビ。えびがにともいう。大正末期にアメリカから食用蛙の餌として神奈川県大船に移入され、本州、四国、九州の各地の水田や小川に広がった。体長10センチほどで体色は黒地に赤で美しい。が、農作物や淡水動物に害を与える。


  反乱の裔(すゑ)ならざるをざりがにの退(すさ)りて退りて
  人目怖れつ              斎藤 史


  一つとりしえびがにを手にいきみゐる小童(こわつぱ)よ
  勁(つよ)く大きく育てよ       五島美代子


  不気味な夜の みえない空の断絶音 アメリカザリガニいま
  橋の上いそぐ             加藤克巳


  入道雲湧けりザリガニのろのろと生き残りゐよ多摩川
                    馬場あき子
  ただ二人昼のやすみを逃れきてざりがに採りき幼かりにき
                     高嶋健一
  あめりかざりがに 笑い蛙がたちあがる すっぽり深い
  六月の闇               鳥海昭子


  君は食う豚足ざりがにゲバラの死金平糖の紅のとげとげ
                    佐佐木幸綱