恐竜(2)
日本産の恐竜の発見は、最近になってからである。最初のものは、1934年、日本領であった樺太から見つかったニッポノサウルス・サハリエンシスであった。これは、ランベオサウルスに近い仲間で、全身の60%が見つかっった。次は、1978年、岩手県岩泉町の宮古層群で見つかった化石で、不完全な上腕骨のみだった。その後、日本における最大の恐竜化石の産出エリア・手取層群が現れた。福井・石川・富山・岐阜に広がる一大化石産出層である。2000年代に学名のついたフクイラプトルやフクイサウルス、フクイティタンの3種類がある。
NHKサイエンスZEROでは(2014年11月23日放送分)、北海道で日本の恐竜研究の歴史を塗り替える大発掘が行われていることを報じた。見つかった化石は植物を食べることに究極に進化した「ハドロサウルス科」。発見された状況からは、日本で初めてのほぼ完全な全身骨格の可能性が高いという。
恐竜の子孫と幼が目を凝らす蜥蜴は億年を吹く風の色
高尾由己
化石より復元されし肉食の恐竜の顔にあきらめを見る
廣瀬美枝
音たてて頸骨まはすそのかみの恐竜たちが風きくさまに
井辻朱美
恐竜展出づる酷暑の夕ぐれを尾のなき二足歩行者あはれ
馬場あき子
恐竜の滅亡を子よとくと見よ楽しい日には終わりがあるの
松村由利子
いまわれはジェット機といふ籠のなか恐竜およぐ夢を
見てゐき 坂井修一
立ちすくむ恐竜のやう 新都心の秋の背(そびら)がしん
と耀ふ 佐々木通代