天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

乗りもののうたー自転車(1/3)

 自転車の歴史は、複雑であるが、www.bikemuse.jp/knowledge/  に要領よくまとめてある。

それをさらに端折って書くと次のようになる。

 ◆1818年  地面を蹴った! ドライシーネ

 ◆1861年  地面から足が離れた! ミショー型ボーンシェーカー

 ◆1880年頃 より速く オーディナリー

 ◆1885年  より安全に セイフティバイシクル

 ◆20世紀  より快適に コンフォートバイク

それぞれがどのような形状であったかは、WEBを参照頂きたい。

 

  人みながねむる真昼の野はらなれ乗りてなき自転車遠く過ぎたり

                      前川佐美雄

*夢の中のできごとであろう。上句も下句も現実離れしている。

 

  吾が撃ちし弾(たま)はまさしく逃ぐる匪(ひ)の自転車に中(あた)りぬ麦畑中に

                       渡辺直己

*作者は広島県立呉高等女学校の教師であった時に、昭和12年日中戦争のため応召され、中国に第五師団歩兵第十一連隊陸軍少尉として送られた。昭和14年に中国河北省天津市で洪水により戦死した。

 

  広場すべて速度と変る一瞬をゆらゆらと錯覚の如く自転車

                       高安国世

*自転車の速度がゆらゆらと遅く感じられるくらい、広場に走っていたものあるいは人は速かった、と言っている。さて具体的な情景が知りたくなる。

 

  自転車の仰向けに投げ出されいて錆浮きはじむ冬に入る日々

                       高安国世

  ひと日を了へ荷の重げなる紙芝居の自転車立つをわれは見守る 

                       田谷 鋭

  胸のここにはふれずあなたも帰りゆく自転車の輪はきらきらとして

                      中城ふみ子

  自転車にかぐわしき森を過ぎてゆくたたかいへ一つたたかいを終えて

                       田井安曇

*「たたかい」の中身が不明。たたかいを終えてまた次のたたかいへ向かうとは!

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自転車