雷鳥
ライチョウ科の鳥で特別天然記念物。世界の極北部に広く分布するが、日本が繁殖地の南限。本州中部の高山帯に留鳥として棲む。昼間は主にハイマツの藪に潜み、朝夕や霧の深い時に草原に出て来る。ちなみに大阪〜富山に運転された「雷鳥」という電車があった。
雷鳥が二羽(には)あひつれて遠ざかる石庭(いしば)の
さきに霧ぞ動ける 半田良平
たどりゆく真砂(まさご)の尾根にひつそりと砂浴ぶか
このひとつ雷鳥 中西悟堂
雷鳥は色まぎらはし指さして教ふる方にさ霧の動く
植松寿樹
朝日さす山上の霧に声かなし仔をつれ歩む雷鳥のこゑ
藤沢古実
しづかにて雪崩の音を待つといふ雷鳥の眼をおもひつつ眠る
河野愛子
霧こむる尾根道にみる四つの影砂浴びてをる雷鳥一家
来嶋靖生
大雪の中のしろたへ雷鳥をしばし想ひて眠りに入らむ
春日井 建
〈雷鳥〉のなほ北上の一念の湖西線とふよきひびきあり
今野寿美