天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

時計(4)

webから

 2013年11月14 日 時計(3) の続きである。時計は時を告げる器具なので、人生を直に感じさせるものであるらしい。勤めている世代にとっての時計は、必須アイテムであるが、退職後は、曜日さえ気にならなくなり、時計はテレビ番組のためにある、といった状況に変化するのであろう。



  予感なくきたる死あらん時計の文字盤今宵みづみづとして
                     真鍋美恵子
  夾竹桃の花の明るさ狂ひたる時計が狂ひし時きざみゐて
                     真鍋美恵子
  死線さまよふ夫の時計をセーターの上から巻きて枕頭に侍す
                     石川不二子
  遺されて今は動かぬ子の時計Tues.十日の文字の目に泌む
                     女屋かづ子
  帰宅するや否や時計を外すくせいつよりか妻にうつりをりをかし
                      竹山 広
  デジタルの時計音ふいに耳につき俄かに寒きわが部屋となる
                     西尾芙美子
  万年筆・時計とつねに身辺(しんぺん)の用を足せしものも
  用なくなりぬ              木俣 修