空間を詠む(2)
空間とは通常、視覚・触覚にとって物体が存在しないで空いている所を指す。空間を飛び交っている電磁波(光、熱などを含む)や音などは物体ではない。
宇宙空間のことを考え始めると、ダークマターとかダークエネルギーなどまでが出て来て、空間の性質が気になる。
空間にくもの糸が光って風の波を描いて消える
高橋みずほ
しばしばも我が空間に現はれて罫ひくごとし朱き
蜻蛉(あきつ)は 安永蕗子
空間がかくも時間に統(す)べらるる昨日のさくら
明日(あした)のさくら 津川洋三
空を背に蝋梅咲けり目に見えぬ標(しめ)あるごとき
花の空間 尾崎佐永子
緑陰といふ空間は慰藉に充ちこころ疲れしものを
寄らしむ 桑原正紀
たんぽぽの穂が守りゐる空間の張りつめたるを吹き
崩しけり 栗木京子
柿の木の若葉の陰に去年ありし柿の実ほどの空間はあり
影山一男