天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

空間を詠む(3)

植物の空間(webから)

 一首目のように「生活空間」となると身近な感じになる。日常的によく出会う熟語だからであろう。二首目以下と比較すると納得できよう。
 ところで空間がどんどん縮んで無になる状況を想像してみよう。われわれの宇宙は、この無の状態からビッグバンにより誕生したという。そこから素粒子、元素、分子などの物質が次々と生まれたらしい。なんとも理解しがたい。


  少年の日の記憶還るか植物の生活空間奪ひ合ひのこと
                     小暮政次
  大粒の雨降り出して気付きたり空間はああ隙間だらけと
                     栗木京子
  蓄音機のあたりあえかに空間のひびわれてゆく 歌こそ渇き
                     井辻朱美
  たくさんの眼がみつめいる空間を静かにうごく柔道着の群れ
                     小島なお