天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

山下清さん(6/8)

高射砲

 昭和17年に二十歳になると当時の制度として徴兵検査を受けなければならなかった。恐れていた検査も精神薄弱ということで免除になり、八幡学園に戻って、ふたたび貼絵の制作に夢中になる。


  義ちやんが敬礼の違ひをして見せる大将、少尉、一等兵  
  空襲の夜は高射砲の音がして花火をあげてゐるやうだつた 
  玄米の御飯を食べる兵たちと白米食べる一人の大佐   
  一本の鉄の足つく軍人が夜中の道をがつちやんがつちやん  
  日本の国は小さいが戦争に負けないといふ やまと魂   
  区役所の兵役検査で生れつき頭が悪いと訴へてみた  
  「不合格」と中佐に言はれその意味を確かめてゐる兵役検査